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今日、古文書の研究をしている方と話をする機会があった。その方がどのような研究をしているか教えてもらったので、ここに若干記してみたい。
(1)その方の専門は近世(江戸時代)の村落の古文書である。美濃あたりの名家などの蔵に残っている古文書を調べるのが仕事だ。
(2)その方の仕事は、古文書を読んで目録をつくり、その概要を書くことだ。手紙などはタイトルを付けて、誰から誰への手紙であるかを記すことで他の研究者が利用しやすくなる。
(3)江戸時代では、古文書を見た限りは、女性が相続することは少なくなった。男の子がいない場合は、婿入りなどの例がある。手紙を見ると、離縁する場合だが、婿が有責の場合は、持参金は返してもらえない。嫁が有責の場合は、持参金は返してもらえる場合が多い。古文書となった手紙を読むと、そんなことも見えてくる。
(4)旗本では、主従関係が強い。改易などで移転となり、形式的には主従関係がなくなった(つまり俸給の支払いがなくなった)としても、やはり心情的なつながりがある。主君の葬式などには家来などは遠くから参加することもあった。
(5)家の本家、分家などの関係は厳しいが、長い歴史の中では、本家が落ちぶれて、分家が興隆することがある。本家と分家の手紙のやり取りを見ると、そんな姿が見えてきて面白い。
(6)古文書が残っているのは、市立歴史博物館には豊富な資料が残っている。また、岐阜大学にも各部門に分かれて古文書が収集されている。最近、岐阜大学は学内の古文書を統一的に管理するようになり、学外者も利用しやすくなった。徳川美術館でも古文書があるが、利用しようとするとお金がかかる。古文書を管理するにもメインテナンスの費用がかかるので、仕方がない面がある。
(7)最近、凸版印刷が中心となって、古文書の文字を読むソフトを開発している。しかし、古文書は個人の癖がかなり強くて、異様体などを正確に読むのはまだ難しい。実用化されるにはまだ時間がかかりそうだ。
などと、いろいろと教えてもらった。自分の知らない分野の話なのでとても勉強になった。
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