菜種梅雨(なたねづゆ)

このところ、雨が多い。菜種梅雨(なたねづゆ)である。

昔、今から50年ほど前だが、新入社員として会社勤めしていた頃、隣の席の人が窓の外を見て、「なたねづゆだな」とぽつりと言った。私はそれを聞いて、「え?」と反応のしたら、近くの人が、「あれ、なたねづゆ、って知らないのかい?」と聞いてきた。そんなエピソードを思い出した。

ネットで調べると「3月中旬から 4月上旬にかけて, 菜の花(→アブラナ)が咲く頃に降る長雨。「 春の長雨」ともいう。 高気圧がはり出したり移動性高気圧が北に偏って日本列島を通ったりするために,関東地方や太平洋沿岸部には冷たく湿った北東風が吹き,前線が停滞しやすくなる」(コトバンク)とある。

今の時期、まさにその通りだ。外は桜が咲き始めている。雨が降ると桜が散るかな、と思う。入学式に桜が満開だと風情があるのだが。「こりゃ、入学式の頃は桜は散ってしまうな」と思ってしまう。そうそう、卒業式の時はやや寒いイメージがあると、入学式では結構暖かくなる。わずか、2週間ほどの差だが結構、温度は上昇する。

それから、麦秋(ばくしゅう)という言葉も知らなかった。高校の教員をしていたときに、同僚の先生が挨拶文を書いているのを見ていたときに、「麦秋の季節となりましたが~」と書いているので不思議に思って辞書で調べたら、「麦秋(ばくしゅう)とは、麦の穂が実り、収穫期を迎えた初夏の頃の季節のこと。麦が熟し、麦にとっての収穫の「秋」であることから、名づけられた季節。」(Wikipedia)のような説明だった。なるほどと思い、記憶したが、あまりこの言葉に出会うことはなかった。

「菜種梅雨」は、会話の糸口として、「雨が降っているね。この時期の雨の季節は菜種梅雨と言うそうだね?」などと言ったりした。しかし、「麦秋」は私は日常会話では使ったことはない。そもそも「ばくしゅう」という音を聞いて、意味が分かる人がいるだろうか。今、ウクライナとロシアで争奪をめぐって戦っている「バフムト」の町の名前の方を想起する人が多いのでは。

lillaby / Pixabay

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