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8月10日に鵜匠さんのお話を記した。その中で一つ印象に残ったのは、飼われている鵜は交尾しない。繁殖しないということだ。野生だと卵を産む。しかし、飼われていると性行動を起こさない。
野生の鵜は繁殖期になるとどこかに移動してそこで交尾する。そのような空間移動と子育てが本能的にしっかりと結びついているようだ。
人間に近い猿の場合も繁殖期しか交尾をしない。繁殖期以外は発情することはない。しかし、人間は年中発情するのであり、いつでも交尾が可能な不思議な動物である。しかし、やはり原始の動物的な本能は残っていて、春ぐらいになると発情することが多くなるようだ。
現代の少子化現象だが、人間の野生的な本能が抑えられていることが一つの理由と考えられる。鵜は鵜匠さんから徹底的に管理される。体調、病気、体重の増減から、エサをどの程度食べるか、徹底的にチェックされる。野生化が抑えられているのだ。
現代人は徹底的に管理されている。一番の発情期の20歳前後は大学受験、就職活動、そして企業での残業の連続で、それぞれ親から上司から、そして世間から管理されている。心理的に、勉強をするように、仕事をするようにと、強い圧力を受けている。とうてい結婚して小作りという気持ちになれない。
現代では、お金のある程度貯まってきた30代の前半が結婚に最適な時期になる。ここに、動物的として繁殖に最適な年齢と、現代に生きている人間の社会的に最適の繁殖の時期がずれている。
ではどうすればいいのか。それには、国家からの財政的な援助が必要だろう。生物として最適な結婚の時期は現代社会では早すぎると考えられている。そのギャップを少しでも埋めるためには、妊娠したら手厚い援助、子どもの養育費は国家が全額負担するぐらいの政策転換を図らないと、この少子高齢化の波はとまらないであろう。
子どもが一人生まれたら毎月10万円の補助金を18歳になるまで支給する。教育費は大学まですべて無償とする。さて、財源はどうするか。消費税を15%に引き上げることで対処する。
などと愚考する次第だ。それくらい、現代日本における少子高齢化は大変なことになっている。
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