今日は9月9日だ。学生と『マイ・フェア・レイディ』を見た。

いま、授業中に、学生に映画を見せて感想を聞いている。『マイ・フェア・レイディ』である。3時間近くあり、途中でIntermissin もあって、見終わるには結構覚悟が必要だ。学生達に感想を聞くと、イギリス社会の階層による言語の違いが分かり、興味深かったと言った。

オードリー・ヘップバーンが主演であり、やはり彼女は華があるというか、学生達の目を引きつける魅力があった。彼女は『ローマの休日』でも、主演であった。イザイラが/ei/の発音ができなくて、いつも/ai/と発音するので、矯正するために、ヒギンズ教授は、The rain in Spain falls mainly on the plain. という文を何回も言わせるのだ。これはコメディーであり、言い間違いなどがあり、確かに面白い。でも、今の若い学生には、ミュージカルの部分などは、すこしくどいと感じるようだ。もう少し短くまとめた方が現代の若者向けにはいいかもしれない。

様々なレベルの英語が出てくるので、翻訳をする人は大変だったろうと推察する。下品な英語を、その意味を変えないで、雰囲気を出しながら翻訳する。ふーん、英語の勉強にこの脚本は使えるのかな、と思ったりした。

現代の社会言語学の立場からすると、イザベラの労働者階級特有の言い方は彼女の個性を形成しており、それを無理矢理矯正する必要はないのではないか、との考えもあろう。このあたり、学生に質問したら、貧しさから逃れるために、言葉遣いを矯正するならば、それは自然であるとの回答が多かった。自分の言語に対する誇りは豊かさがないと保持しようと思えない。フランス人がフランス語を誇りに思うのは、フランスが豊かな国であるからである。貧しい国でったならば、人々は、一斉に捨て去り、豊かな国の言語、役に立つ言語をなそうとしたであろう。

あと、舞踏会の場面などは非常に華やかであった。上流階級の人々の生活がどれほど豪華であったのか想像もできないほどだ。でも、それを支えるたくさんの使用人、労働者階級の人々の存在、そしてイギリス本国の繁栄を支えるために、植民地からたくさんの富が収奪されていったこと、そんなことも学生達に伝えた。

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